僕の別居から離婚への‥心境をそして今生きる希望を探して。
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内緒の話……って?
 裁判所の調停室で、調停という法律に沿った手続きの中で、内緒の話とはいったい何?
 お父さんは調停なんてはじめてだから、とにかく不思議で、驚くことばかりでした。 
 裁判所の調停では、誘導、偽計のような質問で言質をとる、こんなやり取りが常に行われているのだろうかって。刑事事件なら、そんな供述を得たって、証拠能力も証明力もなく無罪じゃないの?
 お父さんにはね、調停委員は申立人の意向に沿うよう交渉人になってるだけで、どう見ても、申立人の代理人、第二の弁護士としか思えませんでした。
 しかも、さっきまでお父さんのことを「あなた」と呼んでいたのに、急に『田中さん』って姓で呼んで笑顔で訊いたんだから。

「どうしてもとなれば、切りつめて切りつめても十二万円です。でも、京子には十万円で話してください」
「そうですか。かなり開きがありますね。あなたの意向は奥さんには伝えます」
「すいません。よろしくお願いします」
「それと、次回からは、離婚の進め方、方法について話を進めるということでどうでしょう。今後は、お金のことや、いろいろしのぎを削らなきゃいけないですから大変な話しになりますよー」
「次回からって、どうしてそんな話になるんですか。私は離婚する気はありませんし、理由もありません。そもそも、何でこんなことをしたのかさえ聴いていないんですから」
「……じゃあ、奥さんと交代しますから待合室に戻ってください」
 男性委員は黙殺して、お父さんに退室を促しました。
「ちょ、ちょっと待ってください。京子が私を訴えた具体的な理由を聴かせてください」
「はい、はい。裁判官に話してもいいか確認しておきますから」
「担当の書記官は、調停委員さんに話してくれって言ってました」
「だから、裁判官に確認すると言っているでしょう」
 たらい回しの世界でした。話せないなら話せないで、その理由を素人にもわかるように説明してくれればいいのに。
「先生、先ほど社会通念とかおっしゃいましたけど、調停の申立書に不倫云々と書いてあるわけですよね。先生はそれを読んでそう思ったのなら、それを教えてくれればいいだけじゃないですか」
「だから、教えてもいいかは、裁判官に確認します」
 裁判官に確認するの一点張りでした 
「子供たちも、私に何ひとつ話もせず連れ出したんですよ。これって誘拐じゃないんですか?」
「は、はあ? 誘拐? アッファファファー。そうですか、誘拐ですか。いやー驚きましたなぁ。私たちもよく研究しておきますからね。アッファファファー。じゃあ、待合室へどうぞ」
 バカにしていました。書類に目を通しながら、ちらっと女性委員と視線を合わせ、嘲笑が混ざり合った独特の笑い声を発して、適当に答えていました。

 待合室に戻り、長椅子に腰掛け思いました。
 これはダメだ。家事事件のしおりには、双方の意見を訊き……と案内されていたけど、双方の意見を訊くどころか、申立人のお母さんの話を基準に離婚という形に当てはめて、その方向に流そうとしているだけでした。しかも、君たちを連れ去られ、離婚を申し立てられた具体的な理由さえも示されず、もう離婚の進め方に移行するとは、いったいどういうことなのだろうか……。
 お母さんはこの日も弁護士帯同だったようです。
 お父さんには弁護士がいないからこうなってしまうのだろうか?

 三十分ほど待っていると、女性委員から声をかけられました。
「田中さん、次回は裁定になりますから」
「裁定って、生活費の額を裁判所が決めるということですか」
「ええ、そうですね」
「そうですって、だって先生、私は資料も提出していませんよ。どうやって適正な金額を決めるんですか。そんな予定だったなら、事前に準備するように話があってもいいじゃないですか」
 お父さんは、収支の詳細も提出していないわけでしょ。口頭で十万円と話しただけで、相当な開きがあると言われただけです。でもお母さんは簡単とはいえ資料を提出してあります。裁判所は、一方の当事者であるお父さんからの資料の提出もなく、客観的な資料に基づいた検討もできないはずなのに、何故裁定なんだろう。
 君たち三人には、さっきから同じことを言って申し訳ないんだけれど、調停ってこうなの?
 お父さんには、調停のこの運営方法、進行の在り方が理解できませんでした。疑問だらけでした。
「うーん、まあ、そうですけどね……」
 女性委員は曖昧な受け応えで誤魔化しました。
「先生、それと、先ほど男性の方が離婚に向けて話を進めると言ってましたけど、もう、親権だとか何とかの話をするということですか?」
 これも確認のために訊きました。
「そうなりますね」
「先生、何か変ですよね。そうですか。離婚の進め方ですか。私にはそんな気はまったくありませんけど……」
 お父さんは女性委員と視線を合わせながら、首を傾げて独り言のように呟きました。
「……じゃあ、今日はこれで終わりですから。ご苦労様です」
 女性委員は苦しげに言い残し戻りました。
 お父さんもすぐに裁判所を後にして帰宅しました。
 一回目の前回もそうだったけど、この二回目も虚脱感だけが残っていました。

 戻ってから、お父さんは裁判所に電話を入れ、担当の女性書記官への取り次ぎをお願いしました。もう一度、お母さんの離婚申し立て内容を確認するためでした。あいにく不在で、男性書記官が応対してくれました。
「離婚調停でお世話になっている田中俊介といいます」
「はい、何でしょう」
「前にO書記官にお願いしたんですが、妻の申立理由を教えてほしいと頼んだら『個人情報で教えられない。調停委員に話してくれ』と言われまして、今日調停委員さんに話したら、今度は裁判官に確認するとの回答でした。私は当事者なんですから教えてもらってもいいと思うんですが、ダメなんでしょうか?」
「別にいいんじゃないですか。当事者なんですから。ちょっと待ってくださいね」
 えっ! いいの……。同じ裁判所の職員同士でこんなに違うの?
 関係書類を確認しているのでしょう。男性担当は少しだけ間を置きました。
「ええーと、離婚の申し立てで、慰謝料は三百ですね。親権も申立人ですよ」
「その申し立ての理由は何と書いてあるんですか?」
「ええーと、いろいろ書いてありますけど、要は、あなたの不貞行為ですね」
「具体的には何と?」
「まあ、電話ですから。そこから先は調停の場で聴いてください」
「ペーパーは出してもらえるんですか?」
「ええ、いいと思うんですけど、私では判断つきかねますので」
「じゃあ、どちらにしても個人情報で拒否ではなくて、教えてもらえるんですね」
「個人情報って、だって田中さん当事者でしょ」
「そうですか。よくわかりました。ありがとうございました」
 電話でこれ以上無理はお願いできません。礼を伝え受話器を置きました。
 女がいるじゃない! とあれほど騒ぐのだから、不貞だと主張する内容が書いてあることはわかっていたけど、何よりも、家裁職員の対応の違いに戸惑いました。
 何が正しいのか。誰の話が正確なのか。どなたが責任ある話ができるのか――。

 間もなくして、お母さんから『婚姻費用の分担請求調停』の申し立てがなされました。
 裁定と聴いていたけど調停申立――。
 お父さんは裁判所からの通知を受け取りましたが、裁判所の調停事務の進め方に統一性も感じられないし、説明と食い違ったり、一貫性のない、朝令暮改的、責任のないやり方を疑問に思いました。
 でも、とにかく、離婚調停とは別に、生活費に対する調停がはじまること、それに恥ずかしいけど、生活費は裁判用語で『婚姻費用』と表現することもわかりました。

 お父さんは、生活費を送金しないなどという不埒な考え方はありませんでした。
 ただ、現実的にこの申し立てにどう対処していいかも、提出すべき書面も内容もわかりません。
 沢田弁護士がいろいろやってくることへの手続き対応等、その意味で弁護士を依頼し、代理人を立てるしかありませんでした。
 面識はありませんでしたけど、会社で訴訟関係をお願いしている弁護士に電話を入れると、結婚から今日に至るまでの経過を書面にするよう指示され、結婚からの経過などという慣れない構成の文書を時系列でまとめ、ファイルに綴って事務所を訪問しました。

「相手の弁護士は誰ですか?」
 挨拶の後、開口一番、そう訊ねられました。
「沢田弁護士ですけど」
「うぅーん……。田中さん、申し訳ないけど、一旦離婚するしかないね」
 これが第一声でした。その言葉が持つ深い意味はよくわかりません。
「はい離婚ですね。はいわかりました。はい、それじゃあ離婚しましょう。手続き進めましょう。はい離婚できました。はい終わりです。本当はそれじゃいけないんだけどなー」
 弁護士は、独り言のように呟きながら、お父さんが用意したファイルに綴られた文書を読みはじめました。
 ファイルを斜め読みし閉じました。
「僕も何件か離婚案件扱っているけど、あんまり詳しくないんだよねー。僕なんかでいいの?」
「ええ。先生にお願いすれば安心ですから」
「そう……じゃあやってみるか」
 正直で、癖のない弁護士だと思いました。
 お父さんは、訴訟も、徹底対抗も考えにありません。ただ、お母さんが投げる槍への対処だけでよかったのです。素人には手続きさえわからないから。
 婚姻費用に対する対応としては、弁護士の指示で、収支の一覧表を作成することになりました。
「ところで、子供さんには会ったんですか」
「いいえ、一度も」
「話はしたんですか?」
「いいえ、それも……」
「寂しいでしょう。面接交渉申し立ますか。親と子が会う機会もないなんてよくないですから」
 お父さんは弁護士に任せました。

 十二月の三回目の調停期日、お父さんは弁護士と二人で裁判所に出向き、弁護士が先行して、少し後から調停室に入りました。
 二人の調停委員は、立ち上がって弁護士に自己紹介していました。
 名前は聴き取れませんし、断片的なやり取りしかわからなかったけど、男性委員は元公務員、女性委員は保険会社に勤務していたようです。
 自己紹介か……お父さんは未だに調停委員の名前も知らないけど。
 当事者の、しかも訴えられている相手方の身。まあ、こんなもんですか。
 この日の調停は淡々としていてね、お父さんが提出した収支一覧表の内容への質問と、女性委員が電卓を手にすばやく叩いて、一覧表の金額を計算確認した程度だった。
 面接交渉については、家庭裁判所の調査官の聴取が入ることを伝えられました。
 日程は後日伝達されることも。
 それとね、帰り際に男性委員に確認しました。
「離婚調停の申立理由はどうなりましたか?」
「ああ、また裁判官に訊いておきますよ」
「前回もそうおっしゃいましたけど」
「そうだっけ。裁判官に訊いとくよ」
 男性委員はためらいもなく言いのけました。
 もう諦めました。無駄でした。


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【2012/09/22 23:30】 | 感謝の言葉とお知らせ
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